NPO法人設立の要件
NPO法人設立には、以下の要件を満たしている必要があります。
1.特定非営利活動を行うことを主な目的とすること
NPO法人を設立するには、活動の目的が以下の20分野の非営利活動のいずれかに該当する必要があります。
ただし、あくまでも主たる活動が該当していれば良く、全ての活動が該当する必要はありません。
- 保健、医療又は福祉の増進を図る活動
- 社会教育の推進を図る活動
- まちづくりの推進を図る活動
- 観光の振興を図る活動
- 農山漁村又は中山間地域の振興を図る活動
- 学術、文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動
- 環境の保全を図る活動
- 災害救援活動
- 地域安全活動
- 人権擁護または平和の推進を図る活動
- 国際協力活動
- 男女共同参画社会の形成の促進を図る活動
- 子どもの健全育成を図る活動
- 情報社会の発展を図る活動
- 科学技術の振興を図る活動
- 経済活動の活性化を図る活動
- 職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動
- 消費者の保護を図る活動
- 前各号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡, 助言又は援助の活動
- 前各号に掲げる活動に準ずる活動として、都道府県又は指定都市が条例で定める活動
2.活動の対象が不特定多数であること
NPO法人で行う事業のうち、特定非営利活動の対象は、不特定多数の人に開かれていなければなりません。
会員のみを対象とした活動であったり、特定の個人・団体のみを対象とした活動は、特定非営利活動にはあたりません。
活動の対象者があらかじめ限定されていると、NPOとしての趣旨にそぐわないためです。
3.営利を目的としないこと(利益を社員で配分しないこと)
活動により得た収益を構成員(理事や社員)に分配することはできません。収益は、次年度以降の活動の資金として繰り越すことになります。
ただし、NPO法人は、特定非営利活動に係る事業に支障がない限り、特定非営利活動以外の事業(以下「その他の事業」といいます。)を行うことができます。
「その他の事業」は、特定非営利活動を目的とした事業の活動資金を得るために行なう事業です。
その他の事業で収益を生じた場合は、その収益を特定非営利活動事業のために使用しなければなりません。
4.宗教活動や政治活動を主な目的としないこと
「宗教活動」とは、「宗教の教義を広め、儀式行事を行い、又は信者を教化育成すること」をいいます。
「政治活動」とは、「政治上の主義を推進し、支持し、又はこれに反対すること」と規定されています。
このような宗教活動や政治活動を主な目的としてNPO法人を設立することはできません。
ただし、たとえば、公害の防止、人種差別の反対、自然保護、中小企業振興など個別具体的な「政治上の施策(政治を通じて実現するもの)」に関わる反対又は賛成の意見の表明については、これにはあたりません。
宗教活動や政治活動を行うことは出来ませんが、宗教家や政治家がNPO法人の役員等になることは制限されていません。
5.特定の公職の候補者・公職にある者・政党を推薦、支持、反対することを目的としないこと
「公職」とは、衆議院議員、参議院議員、地方公共団体の議会の議員及び首長の職をいいます。こうした公職者を推薦、支持、反対することはNPO法人で行うことはできません。
特定の公職者や、公職の候補者への支持などは、それを団体の従たる目的として行っても法に抵触するので注意が必要です。
ただし、後援会のように特定の政治家を継続的に支持することを主たる目的としているのではなく、団体の活動目的と合致する候補者等の唱える政策を応援することまでを禁止するものではありません。
6.特定の政党のために利用しないこと
7.特定の個人・法人・団体の利益を目的として事業を行わないこと
例えば、「難病の幼児の○○ちゃんを支援する」(特定の個人の利益)、「株式会社○○のイベントを行う部門としてNPO法人を設立する」(特定の法人の利益)などは、NPO法人では行うことができません。
8.特定非営利活動に係る事業に支障が生じるほど「その他の事業(収益事業を含む)」を行わないこと。
その他の事業の収益は特定非営利活動に係る事業に充てること。
その他の事業とは、特定非営利活動の資金を得るために行う、特定非営利事業以外の事業です。一般に「収益事業」が該当します。
NPO法人は、特定非営利活動を行うことを目的とした法人なので、その他の事業を行うにしても、その他の事業が主な事業になったり、その他の事業が特定非営利事業に支障が生じるような運営は本末転倒になってしまい、認められません。
「支障が生じる」の判断基準としては、その他の事業が赤字ではダメです。特定非営利事業を圧迫している(支障がある)と判断されます。
(結果的に単年度だけ赤字になってしまうことはありますが、少なくとも事業計画上で赤字でない必要があります。)
また、NPO法人の活動の主な目的は特定非営利活動ですから、その他の事業がメインになってしまってはいけません。「その他の事業がメイン」とはどんな状態をいうのかには、支出規模で判断され、その他の事業の支出額が特定非営利事業の支出額を下回っていなければならいとされます。(つまり、特定非営利事業より事業支出が多くてはダメ。)
さらに、その他の事業の収益は特定非営利活動に係る事業のために使われなくてはならないとされています。
9.暴力団でないこと,暴力団又は暴力団の構成員等の統制下の団体でないこと
「暴力団の構成員等」とは、暴力団の構成員若しくは暴力団の構成員でなくなった日から5年を経過しない者をいいます。
10.社員(総会で議決権を持つ会員)の加入・脱退について、不当な条件をつけないこと
NPO法人は、社員(正会員)の加入・脱退は自由でなくてはなりません。NPO法人の設立趣旨や活動目的に賛同する個人・法人等の入会を妨げるような条件を設定することはできません。
なお、社員(正会員)の加入・脱退について、不当な条件を設けることは出来ませんが、正会員以外の会員(例えば、「賛助会員」など)については、条件を設けることができます。
⇒NPO法人の社員(正会員)の入会に条件を付けることは出来ますか?
11.社員(正会員)が10人以上いること
「社員」とは・・・総会で議決権を有する会員のこと。職員や従業員のことではありません。「正会員」がNPO法上の「社員」に当たります。
社員には、個人・法人・団体がなることができ、国籍、住所地、親族等の制限はありません。
また、社員は役員(理事・監事)を兼ねることができます。
12.役員として、理事3人以上、監事1人以上を置いていること
NPO法人の役員とは、理事と監事を言います。
理事は、NPO法人の経営者。会社でいう「取締役」にあたる役職です。
監事は、NPO法人の業務・運営や会計の監査する役割があり、会社でいう「監査役」にあたります。
13.役員報酬を受ける人数が、役員総数の3分の1以下であること
ここでいう「報酬」とは、役員としての報酬のことです。役員が法人の職員を兼務していて、職員として給与を受けるような場合は、この「報酬」にはあたりません。
14.各役員について,その配偶者もしくは親族が2人以上いないこと。また、各役員と配偶者・親族の数が役員総数の3分の1以下であること
親族とは、ここでは配偶者及び三親等以内の親族をいいます。
役員総数が5名以下の場合、配偶者・親族は1名も含むことはできません。役員総数が6名以上に場合に、理事・監事についてそれぞれ1名のみ、配偶者・親族を含むことができす。例えば、夫婦で理事になる場合は、役員総数は6名以上いなくてはなりません。15. 役員は欠格事由に該当しないこと
特定非営利活動促進法(NPO法)では、役員の欠格事由について以下の6点を定めています。欠格事由に該当する者は役員になることはできません。
- 成年被後見人又は被保佐人
- 破産者で復権を得ないもの
- 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わった日又はその執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない者
- NPO法もしくは暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の規定に違反したことにより、又は刑法の一定の罪若しくは暴力行為等処罰に関する法律の罪を犯したことにより、罰金の刑に処せられ、その執行を終わった日又は執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない者
- 暴力団または暴力団の構成員(暴力団の構成団体の構成員を含む)若しくは暴力団の構成員でなくなった日から5年を経過しない者
- NPO法人の設立の認証を取り消された特定非営利活動法人の解散当時の役員で、設立の認証を取り消された日から2年を経過しない者
ご相談・ご依頼はお電話かインターネットから受け付けております。
ハイク行政書士法人
担当行政書士:熊谷 竜太
インターネットからのご相談・ご依頼はコチラ(24時間受付)
電話:0120-189-819(10:00~19:00 月曜日~金曜日)