NPO法人設立のメリット・デメリット
NPO法人設立のメリット
NPO法人として認証されることは、個人事業や任意団体よりも活動の幅が広がる可能性が高いと言えます。NPO法人自体の認知度も高いので、認証を受けることで信用が高まるといえるでしょう。
1.社会的信用が高まる
個人や任意団体としての活動より、所轄庁(都道府県知事又は政令指定都市の市長)の「認証」を受けた上で設立されたNPO法人としての活動を行うほうが、相手方に信頼・安心感を与えることができます。
2.NPO法人名による契約ができる
NPO法人では、法人名で登記し、法人名義で各種契約(たとえば、銀行口座の名義など)をすることができます。
任意団体では、各種契約の際には、代表者個人の名前で契約することになります。(団体名での契約や登記ができません。)
代表者が変更するたびに名義の変更をしなくてはならないので、面倒です。NPO法人であれば、このような必要がなくなります。
3.人材の確保に有利
個人・任意団体よりも法人の方が社会的な信頼がありますので、優秀な人材を確保しやすくなるでしょう。人材の確保は、事業を行う上では非常に重要な事です。また、雇用される従業員にとっても、法人に勤務するほうが、個人事業主に雇用されるよりも安心でき、勤労意欲も高まるといえます。
4.寄付金を集めやすい
公益的な組織であるNPO法人であれば、信用が高まりますので、趣旨に賛同してくれる「スポンサー」に寄付を依頼する際にも、アピールになります。
任意団体では、寄付金を募るのも困難ですし、たとえ趣旨に賛同してくれたとしても、個人名義の口座に振り込むのでは、スポンサーにとっても寄付するのに躊躇するでしょう。 (任意団体では法人格がないので、法人名義の銀行口座が開設できず、代表者の個人名義になってしまいます。)
NPO法人設立のデメリット
1.機敏な活動が難しい場合も
NPO法人では、運営を決定していくにあたり、一定の手続が必要となる場合がでてきます。例えば事業内容を変更する場合、定款の変更が必要になりますが、変更には総会の決議をし、変更内容によって所轄庁の認証を得る又は届出の手続が必要です。
2.会計処理が必要になる
経理については簿記の原則に基づいて処理する必要がありますので、知識を持った人を雇うか、場合によっては税理士等に代行してもらう必要がでてきます。
尚、毎年事業報告書の作成・提出の必要があります。
3.税務申告義務がある
法人として税金を納める義務が生じてきます。ただし、収益事業を行わないNPO法人は税務署への届出は必要ありません。
4.財産の名義変更が必要
任意団体として今まで活動してきたということであれば、それまで所有してきた財産について名義の変更をする必要があります。
5.解散した場合の残余財産は個々人に分配できない
NPO法人を解散した場合、残余財産は定款の定めにより他のNPO法人や公益法人等、国、地方公共団体に帰属します。社員(正会員)等の個々人に財産を分配することはできません。
まとめ
デメリットもありますが、これらはしっかりとした組織運営をする上では欠かせない事項です。
上記では「会計処理が必要になる」ことをデメリットとして挙げましたが、きちんとした会計処理をして事業報告等も情報公開することにより、組織の基盤がしっかりした法人であると社会的信用が得られるという点ではメリットになるとも言えます。
メリット・デメリットをよく比較して検討してみましょう。
特に、任意団体など既成の組織からNPO法人化を検討する場合、次のようなことにも配慮することをお勧めします。
- NPO法人化する目的やねらいを明確にする。
- 団体の構成員に、法人化に対する理解と協力を得られるようにする。
- 現在の役員構成を、NPO法と照らし合わせて再構成する。
- 任意団体での会員制度から、NPO法上の社員へスムーズに移行する。
- 個人で保有していた事実上の団体の資産を、法人へどのように移管し会計処理を行うか明らかにする。
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担当行政書士:熊谷 竜太
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